お供え花に添えるメッセージカードは、故人への思い、そして遺族への気遣いを形にして伝える大切な手段です。直接言葉にできない場面だからこそ、カードに書く一言一言が、受け取る方の心に深く響くことがあります。
この記事ではお供え花を贈る際に添えるメッセージカードの例文や基本マナー、書き方のコツを解説します。ご遺族の気持ちに寄り添い、故人をしのぶ気持ちをやさしく届けるためのヒントとしてお役立てください。
お供え花に添えるメッセージカードには何を書く?心を伝える基本マナー
お供え花に添えるメッセージカードには、次のような気遣いや配慮が求められます。
忌み言葉を避ける
弔事の場では、不幸が重なることを連想させる「重ね重ね」「繰り返し」「再び」「続く」などの言葉や「死ぬ」「苦しむ」などの直接的な表現は避けるのがマナーです。やわらかい表現に言い換えることを意識しましょう。
- 「重ね重ね」→「改めて/このたび」(「重なる」を避ける)
- 「繰り返し」 → 「改めて」 (不幸が続く印象を与える)
- 「再び」 → 「新たに」/「あらためて」 (繰り返すことを連想させる)
- 「続く」 → 「今後も」/「これからも」 (「不幸が続く」印象になる)
- 「死ぬ」 → 「ご逝去」/「旅立たれる」 (直接的な死の表現を避ける)
- 「苦しむ」 → 「ご闘病」/「ご病気の中で」 (やわらかく敬意を込めて)
- 「終わる」 → 「一区切り」/「節目」 (人生の終わりを連想させないように)
- 「消える」 → 「お姿が見えなくなる」/「静かに旅立たれる」 (存在がなくなる印象を避ける)
故人への敬意を込めた丁寧な言葉を使う
「ご逝去」「ご冥福」「お悔やみ申し上げます」など、フォーマルな言い回しを選ぶようにしましょう。カジュアルすぎる言葉や省略語は避けます。
遺族の気持ちに寄り添う一文を忘れずに
ご遺族の疲労や悲しみを気遣う言葉を添えると、より温かみが伝わります。
例文:「お体に気をつけてお過ごしください」や「心穏やかな日々が訪れますようお祈り申し上げます」など
お供え用のメッセージカードに盛り込みたい3つの要素
以下の3つの要素をバランスよく組み合わせることで、相手に伝わりやすく、心のこもったメッセージになります。
1. 故人への感謝や敬意を伝える言葉
お供え花のメッセージには、故人への深い感謝の気持ちや敬意を込めた一文を添えることが基本です。故人との関係性や生前の思い出に触れながら、「どのような存在だったか」「何を感じていたか」を言葉にして伝えることで、より温かく真心のこもった印象になります。形式的な表現であっても、そこに少し自分の言葉を加えることで、受け取る側の心にも届きやすくなります。
例文:
「生前は多大なるご厚情を賜り、心より感謝申し上げます。」
「〇〇様の温かなお人柄に、いつも励まされておりました。心よりご冥福をお祈りいたします。」
2. ご遺族への配慮や励ましの言葉
お供えのメッセージでは、故人だけでなく、悲しみに暮れるご遺族への気遣いも大切なポイントです。突然の別れに戸惑い、心の整理もつかないまま日々を過ごしているご遺族へ、労わりや励ましの気持ちを込めることで、優しさや思いやりが伝わります。形式的な文面であっても、「ご家族様のご健康をお祈りします」などの言葉は安心感を与えます。
例文:
「ご家族皆様が一日も早く心安らかに過ごせますよう、心よりお祈り申し上げます。」
「ご無理をなさいませんよう、お身体を大切にお過ごしください。」
3. 自身の都合へのお詫び(参列できない場合など)
お通夜や告別式、法要などに参列できない事情がある場合には、そのお詫びの気持ちを一言添えると丁寧です。特に、親しい間柄であればあるほど、直接ご挨拶できないことを申し訳なく思っている旨を伝えるとよいでしょう。遠方に住んでいる、予定が合わなかったなどの理由は簡潔に述べ、「せめてもの気持ちとしてお花をお送りします」といった形で、代わりとなる心遣いを表現します。
例文:
「遠方につきご焼香に伺えず、誠に申し訳なく存じます。お花に心を込めてお送りいたします。」
「直接お悔やみを申し上げることが叶わず、誠に申し訳ございません。せめてもの思いとしてお花をお届けさせていただきました。」
【例文集|シーン別お供え花のメッセージカード文例】
以下では、シーン別に使えるメッセージ例文を紹介します。自分の言葉に言い換えながら活用するのがおすすめです。
◆ お通夜・告別式に贈るメッセージ
お通夜や告別式に贈るメッセージでは、突然の訃報に接した驚きや悲しみ、そして故人への哀悼の気持ちを丁寧に表すことが大切です。形式的な文面でも、気持ちがこもっていればご遺族にしっかり伝わります。特に「突然」「訃報に接し」などの言葉を使うと、ご遺族の状況に共感する姿勢が伝わります。
例文: 「突然の訃報に接し、ただただ驚いております。心よりご冥福をお祈り申し上げます。」 「ご生前のご厚誼に感謝申し上げ、心より哀悼の意を表します。」 「〇〇様の温かな笑顔が今も胸に残っております。ご遺族の皆様に、心よりお悔やみ申し上げます。」
◆ 四十九日・一周忌など法要に贈るメッセージ
法要に際して贈るメッセージでは、故人を偲ぶとともに、年月を経ても変わらぬ思いを込めた表現が望まれます。「心ばかりではございますが」「ささやかではございますが」といった謙虚な言葉を加えると、より丁寧な印象になります。
例文: 「〇〇様のご法要に際し、心ばかりのお花をお供えさせていただきました。安らかなご冥福をお祈りいたします。」 「命日にあたり、〇〇様を偲び心よりお祈り申し上げます。」 「在りし日のお姿を思い出しながら、静かに手を合わせております。」
◆ 祥月命日・月命日に贈るメッセージ
祥月命日や月命日は、故人が旅立たれた日と同じ日付にあたります。そのため、ご遺族にとっても改めて思いが深まる日でもあります。そんな節目に贈るメッセージは、静かな共感や敬意を込めた言葉が適しています。
例文: 「〇〇様のご命日を迎え、改めて深い悲しみを感じております。お人柄を偲び、心よりご冥福をお祈り申し上げます。」 「ご命日に際し、ささやかなお花を贈らせていただきました。どうぞお供えください。」 「〇〇様の優しさに触れた日々が、今も心の支えとなっています。」
◆ 初盆・新盆に贈るメッセージ
初盆(新盆)は、故人が亡くなられて初めて迎えるお盆であり、ご遺族にとっても大切な節目となります。お花とともに静かな気持ちを伝えることで、思いやりの心が伝わります。故人を偲ぶと同時に、ご遺族へのいたわりの言葉も添えましょう。
例文: 「静かに迎える初盆に際し、心を込めてお花をお届けいたします。〇〇様の在りし日のお姿を偲び、ご冥福をお祈り申し上げます。」 「新盆を迎えられたとのこと、ささやかではございますが心ばかりのお花をお供えいたします。」 「ご家族の皆様にとって、穏やかなひとときとなりますようお祈りしております。」
◆ 遠方で参列できないときのメッセージ
やむを得ず参列できない場合でも、思いを込めたメッセージを添えることで、心遣いをしっかり伝えることができます。特に「せめてもの思い」や「心を託して」といった表現は、離れていても気持ちは寄り添っているという姿勢を示すのに適しています。
例文:「遠方につきご焼香に伺えず、誠に申し訳なく存じます。せめてもの思いを込めて、お花をお届けさせていただきました。」 「直接お伺いできず恐縮ですが、お花に心を託し、ご冥福をお祈り申し上げます。」 「遠くからではございますが、静かに〇〇様を偲んでおります。」
◆ 友人・知人へのお供えメッセージ
友人や知人へのメッセージは、より個人的な思い出や心のこもった表現を用いることで、深い共感と優しさが伝わります。堅苦しくなりすぎず、故人との関係性を感じさせる一文を添えると、より心温まる印象になります。
例文: 「突然のことで、言葉が見つかりません。ただただ、安らかなる眠りをお祈りいたします。」 「〇〇さんとの思い出は、今も色褪せることがありません。心よりご冥福をお祈りいたします。」 「楽しかった日々が今も心に残っています。どうか安らかにお休みください。」
◆ 取引先・上司などビジネス関係へのメッセージ
ビジネス関係の方へのメッセージでは、丁寧で礼儀正しい文面を心がけましょう。ご遺族に失礼のないよう、過度に個人的な感情は避けつつ、故人への敬意と感謝の意を表現します。会社として贈る場合は、代表者名や部署名を明記するのも丁寧です。
例文:「このたびは〇〇様のご逝去、誠に残念でなりません。生前のご厚情に深く感謝申し上げ、心よりお悔やみ申し上げます。」 「突然の悲報に接し、心より哀悼の意を表します。今後とも変わらぬご厚誼を賜りますようお願い申し上げます。」 「〇〇様のご冥福をお祈り申し上げるとともに、ご遺族の皆様に謹んでお悔やみ申し上げます。」
メッセージカードの形式・構成のポイント|メッセージは3ステップで考えると書きやすい
文章を書くのが苦手な方は、以下の3ステップに沿ってメッセージを構成すると、気持ちを整理しやすく、心のこもった一文が書きやすくなります。無理に長文を書く必要はなく、短くても誠実な想いが伝わるよう心を込めましょう。
ステップ1:導入(お悔やみの言葉)
まずは、訃報を受けた悲しみと、ご遺族への哀悼の意を述べます。丁寧で定型的な表現を選ぶことで、落ち着いた印象となります。相手の宗教や地域性により適切な表現を選ぶ配慮も大切です。
◎よく使われる表現例:
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「このたびは誠にご愁傷様でございます。」
-
「突然の訃報に接し、ただただ驚いております。」
-
「謹んでお悔やみ申し上げます。」
💡ポイント:初対面やビジネス関係者には特に、敬語や丁寧語を正しく使いましょう。
ステップ2:本文(故人への思い出や感謝、ご遺族への配慮)
ここでは故人の人柄や印象に残っている出来事、感謝の気持ちなどを述べます。また、残されたご遺族への思いやりの言葉を添えることで、温かい気持ちが伝わります。
◎例文のパターン:
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故人とのエピソードを交える:「〇〇様のあたたかな笑顔は、今でも心に残っております。」
-
感謝の気持ちを込めて:「在りし日には大変お世話になり、深く感謝しております。」
-
ご遺族を気遣って:「ご家族の皆様に、心よりお見舞い申し上げます。」
💡ポイント:差し支えなければ「生前にこんなご縁がありました」といった具体的な言及があると、より気持ちが伝わります。
ステップ3:結び(冥福を祈る言葉、相手へのいたわり)
メッセージの最後には、故人の冥福を祈る気持ちと、ご遺族の体調や心を気遣う言葉で締めくくります。静かで丁寧な言い回しを心がけましょう。
◎よく使われる結びの言葉:
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「ご冥福を心よりお祈り申し上げます。」
-
「安らかな眠りにつかれますようお祈り申し上げます。」
-
「ご家族の皆様も、どうかご自愛くださいませ。」
💡ポイント:「お大事に」などの医療的な言葉よりも、「ご自愛ください」「お体に気をつけて」など柔らかく一般的な表現が適しています。
文章の長さに決まりはありませんが、全体で2~5行程度を目安にまとめると読みやすくなります。書き終えたら声に出して読み返すことで、相手に失礼のない表現かどうか確認できます。
NG例とその理由|避けるべき表現・言葉づかい
メッセージカードに使わないほうがよい言葉や表現もあります。以下に注意しましょう。
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忌み言葉:「また」「次に」「追って」「繰り返し」など重ねる言葉
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過度に宗教的な表現:「天国で見守ってくれている」「極楽浄土」など(宗教観の違いにより誤解を生むことがあります)
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フランクすぎる表現:「バイバイ」「またね」など親しみが過ぎる言い方
よくある質問(Q&A)
Q1. メッセージカードは手書きが良いですか?
A. 手書きはより丁寧で心が伝わりますが、整った印字でも失礼にはあたりません。大切なのは言葉選びの真心です。
Q2. 宛名や差出人は書くべきでしょうか?
A. 個人の場合は省略しても問題ありませんが、会社名義やビジネスの場合は宛名と差出人名(フルネーム)を添えると丁寧です。
Q3. どれくらいの長さが適切?
A. 一般的には50~100文字前後が目安です。あまり長すぎず、かつ気持ちが伝わる内容を心がけましょう。
まとめ|心を込めた言葉で、想いを丁寧に届けましょう
お供え花に添えるメッセージカードは、形にできない感謝や悲しみ、敬意を言葉にして届ける大切な手段です。
大切なのは「きれいな文」よりも、「相手に寄り添う気持ち」です。この記事で紹介したマナーや例文を参考に、あなたらしい言葉で想いを届けてみてください。
悲しみの中でも、そっと心が和らぐような一文を添えることが、何よりの供養となるでしょう。